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「オレ、肉焼くから、Nさんもなにか作ってよ。
料理は得意?」「ううん。
家庭科の調理実習で作ったことがあるくらい」「実習の時は、どうだったの?」そこで私は、小学校の時に作った目玉焼きの話をして聞かせた。
1人1個ずつ卵を使い、自分のぶんを作る実習は、誰が上手で、誰がヘタなのかが一目瞭然になるむごいものだった。
私は男子を合わせても、ダントツの失敗作を作った、といっていい。
そんな実話を、おもしろおかしく聞かせたのがいけなかった。
彼はその後、キミも料理を作ってはどうか、とは言わなくなった。
彼がごちそうしてくれた焼き肉はというと、お肉はただ焼くだけでこんなにおいしいのか、と驚くようなスバラシイお手前だった。
こんなおいしいものを自分で作れるんだから、たくさん食べたくもなる、というものだ。
やはり食べる量は、私1で彼3くらいもあった。
大きさの秘密である。
私は、やはり遺伝が関係しているのではないか、と考えた。
彼に尋ねてみたところ、たしかに彼の家族はみんな背が高いという。
彼の家族で一番小さい人と、私の家族で一番大きい人がいい勝負、なのだ。
言っておくが、私の家族でビックリするほど小さいのは、私だけだ。
母は「たくさん食べろ」「早く寝ろ」が、ログセだったが、食が細く、夜更かしの好きだった私にはつらく、食事中に「食べろ」と言われると、ノドがつまったものだ。
めったにウチにいない父も、たまにいる時は母に協力的だった。
私たちが食事の後、トイレに入ろうとすると、「すぐに出すな。
もったいない」今度は出口がつまった。
たくさん食べるから、よけい、おいしく作ろうという気持ちが生まれ、また腕をあげるのだ。
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